時間のエネルギー

 E=mC^2 (^は、べき乗を表す記号) という式をご存知でしょうか?

 Eはエネルギー、mは質量、Cは光速度を表します。

 これは、かのアインシュタイン博士が示した方程式で、簡単に説明すると、質量mの物体が全てエネルギーに変換されると光速度の2乗を掛けた大きさになる、ということです。光の速度は秒速約30万kmですから、その2乗の900億を質量に掛けるわけです。

 それがどれぐらいのエネルギーなのかは、単位をそろえたりしないといけないので細かい計算式は書きませんが、だいたいこんなもんかなと皆さんがイメージしてみて下さい。とにかく、ほんのちょっとの物質でも、その質量の全てを無駄なくエネルギーに変換できれば、想像を絶する膨大なエネルギーが取り出せるわけです。

 でも、エネルギーとはいったいどんなものなのでしょうか?ただ単にエネルギーと言われてもよくわからないという方がたくさんおられることでしょう。

 エネルギーは、いろいろな形状をとります。熱エネルギー、電気エネルギー、位置エネルギーなどなど。それらと同じように、アインシュタインは質量もエネルギーだと言ったわけなんですね。

 熱エネルギーは、たとえばやかんでお湯を沸かすとき、ガスの炎などの熱エネルギーが水をお湯に変え、お湯が水蒸気になって体積が膨らむとやかんのふたをカタカタと動かします。電気エネルギーは、モーターを回したり蛍光灯を光らせたりします。

 このように、エネルギーは様々に形状を変える力の源だといえるでしょう。

 そして、エネルギーは形を変えながらも全体としてのエネルギー量は変化しないというのが、1840年、ヘルムホルツ、ロバート=マイヤー、ジュールらによって確立された「エネルギー保存の法則」なのです。

「エネルギー保存の法則」が確立される前、1774年に「質量保存の法則」がフランスのラボアジェによって発見されました。これは、化学変化の前後において物質の全質量は変化しないという法則で、物質が全く消滅してしまったり、新物質が全くの無から生じたりすることはないということですね。

 ところが、科学の進歩とともに「計量」の分野が進歩すると、どうも質量保存則が怪しくなってきました。計量の精度が上がるということは、細かいところまで質量を測ることが出来るということです。すると、化学変化の前と後ではほんのわずかですが質量が減ったり増えたりすることがある。

 これは、当時の科学界においては一大事でした。「質量保存の法則」を完全に証明する方程式はありません。しかし、それまでの実験結果から、この法則は正しい仮定であるとほとんどの科学者は信じていました。

 そして、1905年にアインシュタインが特殊相対性理論を発表し、「質量保存の法則」と「エネルギー保存の法則」が合体することになり、この問題に終止符が打たれたわけです。

 ずいぶんと前置きが長くなってしまいましたが、要するにエネルギーとは、見た目は全く違って見えてもいろいろな形になって蓄えられている、と言いたかったのです。

 では、エネルギーが時間として蓄えられることはあるのでしょうか?

 そもそも、時間とは何なのでしょうか?

 時間の概念を論議すると、永遠に終わりそうにありませんのでここで取り上げることは止めておきます。また、相対論的に時間が伸び縮みすることも無視します。

 今、私たちが感じている「一秒」は固定された(長さの決まった)一秒であると仮定して話を進めていきましょう。

 さて、思考実験をしてみましょう。(おお!なんとなく物理学っぽい)

 他に物体の無いユークリッド空間で、1台のロケットが点Pから点Qに移動するとします。

 おっと!この時点で音を上げた方がおられますね?

「ただでさえ数字が苦手やのに、XやらPやら出て来たらもうあかん・・・」

 わかりました。代数は止めて、普通の数字にしましょう。

 たとえば、1台のロケットで地球から月へ行くとします。そして、このとき他には一切邪魔をする天体や物質は無く、地球も月も大きさも重力も無い点と仮定します。

 要するに「地球」という点から「月」という点にロケットが移動するのですね。

 このロケットが早く月へ到達するためには、ロケットの噴射を大きくしてスピード(加速度)を上げてやれば良いわけです。逆に遅く到達するためには、ゆっくりと進めばよいのです。

 そうそう、言い忘れてました。最初、地球に居るロケットは静止しているものとし、月に到着したときにも静止するとします。

 と言うことは、月に到達する前にロケットは逆噴射をしなければなりません。

 宇宙空間のように真空の場所では、地球上のように地面や空気の抵抗(摩擦)が無いですから、月で静止するためには慣性(まっすぐに進もうとする力)を止めなければなりません。つまり、ロケットが止まるためには、最初に加速したエネルギーと同等のエネルギーを使ってブレーキを掛けなければならないのです。

 さて、まとめましょう。

 ロケットが早く月に到達するためには、大きなエネルギーを使って加速し、また大きなエネルギーを使ってブレーキを掛け減速します。

 ロケットがゆっくりと月に到達するには、小さなエネルギーでほどほどにスピードを上げ、途中は惰性で進行し、静止するために小さなエネルギーを使います。

 こんな物理学的な話をしていますが、私は物理の計算が出来ません。ですから、ちゃんとした数字で表すことは出来ませんが、イメージとして次のような結論を出しました。

 ロケットが大きなエネルギーを使うと到達時間が短い。逆に小さなエネルギーだと到達時間は長い。このときの時間の差とエネルギーの差をしっかりと計算してやれば、時間に対するエネルギー量が求められるのではないか?

 つまり、時間をエネルギーとして置き換えられるのではないか、と。

 こんなことは、たぶん他の誰かがずっと昔に考えていると思います。そして、この結論は簡単に否定されているものと思います。

 しかし、もし?

 この概念が正しいのであれば、時間にエネルギーを注ぎ込んだり、または時間からエネルギーを奪ったりして、時間旅行(タイムマシン)が実現するやもしれませんて・・・

 

ACという概念 目次

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