『月』のお話
私たちが住んでいる母なる地球。その地球から、一番近くにある天体(ここでは、隕石や人工衛星などは除きます。念のため)それが、『月』です。夜空にぽっかりと浮かぶ真ん丸い満月。筆で書いたように鋭く光る三日月。地平線近くで、妖しい赤に光る普段より大きいお月様。
皆さんは、不思議に思ったことはありませんか?どうして満ち欠けするのだろう。どうしてお昼間でも見えるのだろう。どうして落ちてこないのだろう。本当にウサギは住んでいるの?本当に表側しか見えてないの?
考え出したら不思議なことだらけです。それでは、その疑問にお答えしましょう!というお話です。
名前
「月」と言う呼び方は、当たり前ですが日本だけです。英語では「Moon」(ムーン)。ラテン・イタリア・スペイン・ロシア語では「Luna」(主にルナ)と呼ばれています。当然、他の言語では他の呼び方が幾種類もあります。
位置
地球からの平均距離は384,400km
離心率は0.05 これは地球から最も遠い時の距離と最も近い時の距離の差が600kmあることを表しています。ほぼ、東京−大阪間と同じです。
大きさ
半径1,738km(地球の27.3%)約4分の1ですね。体積は地球の2%、質量は7.35×1022kg(地球の1.2%)です。大きさの割に軽すぎると思いませんか?これは、月の起源問題と関係してきます。後ほど詳しくお話しましょう。
質量を表して見ると73,500,000,000,000,000,000,000kgです。なんだか、よくわかりませんね。少し、単位を上げてみましょう。kgの1000倍はt(トン)で表わされます。従って73,500,000,000,000,000,000tになります。まだ、読むことも出来ません。もうひとつ上げましょう。73,500,000,000,000,000kt。まだですね。もうひとつ73,500,000,000,000Mt(メガトン)。もういっちょ。73,500,000,000Gt(ギガトン)。ずいぶんすっきりしました。735億Gtです。でも、結局よくわかりませんね。
大きすぎる数字というのは、想像力の上を行ってしまいます。ここは素直に、地球の1.2%としておく方が、何故か納得できるんですね。地球の質量も知らないのに。(ちなみに、地球の質量は5.98×1024kgです。読み方は・・・やめておきましょう)
発見
発見と言ういい方は、おかしいですね。当然のことながら、有史以前から知られていたことでしょう。地球から見ることの出来る天体の中で、2番目に明るい星です。(1番はもちろん太陽です)
大気
月には大気が無い。とされていますが、実はあるんです。これは、嘘でも冗談でもなく本当のことです。
月に含まれる元素の中に、カリウム40という物質があります。これは、別に珍しい物質でもなんでも無くて、地球にも存在しています。ただ、このカリウム40というのは放射性物質で、他の放射性物質と同じく、自然に崩壊していきます。その半減期(崩壊して、元の元素の半分の量になる期間)は、13億年という途方もない長さです。計算によると、毎秒3600gのカリウム40が崩壊していて、その際に、毎秒360gのアルゴンが生成されて行きます。月が誕生してから今まで(月は40億歳と推定されています)に作られたアルゴンの量は、約170兆トン。もし、その全部が月の表面に残っているとすると、月は地球の約半分の濃さの大気を持っていることになります。ただし、アルゴンは月の表面だけでなく、地中深くでも作られていきます。その大半は、地中の中に閉じ込められたままですし、たとえ、じわじわと滲み出して、表面までたどり着いたとしても、月の重力は地球の6分の1しかなく、この重力場ではアルゴンを月に留めておくことは出来ません。しかし常に、若干の(本当にほんのちょっとですが)アルゴンが月の表面にあるのです。
観測によると、月の表面には、地球の10兆分の1の大気があることが認められています。
ほんのちょっとでも、あることはあるんです。